【論文】病理画像分析による神経膠腫のグレード自動分類

またPathology Informaticsの論文である.
組織の画像中でネクローシスを起こしている部分を抽出するのが主目的となっている.ネクローシスを起こしている部分は大体生存している細胞に欠けた部分の周りに,細胞が円を作って整列している.この論文のエッセンスとしては細胞を分節化し,細胞数のプロファイルを作成してネクローシスを発見することである.

組織病理学での細胞のsegmentationの自動化は基本的に難しい.それは画像が様々な条件から一定ではないからである.大体がスレッショルディング,特徴の抽出,形態学的なフィルタリング,そして領域をマッピングするといった手順をとる.この論文では様々なスレッショルディングを融合し,また形態的なフィルタリングを施行している.

Automated discrimination of lower and higher grade gliomas based on histopathological image analysis Mousavi HS, Monga V, Rao G, Rao AU - J Pathol Inform

細胞のスレッショルディングによる抽出は下のようなチュートリアルが存在している.このチュートリアルではmahotasを利用している.(PythonVision)
Tutorial

細胞数のプロファイルの作成は小さいピクセルに分割した画像から細胞数をカウントし,それらをマッピングすることで作成されている.
こういうプロファイル,画像を作成してみたい.

この論文では
(1)上記のcell profileからネクローシスを起こしている部分を同定
(2)微小血管の増生をフィルタリングで同定

どちらもdecision treeを利用している.
ネクローシスもしくは微小血管の増生(MVP)がいずれかのスライドに存在していた場合,そのスライドをHigh-Grade Glioma(HGG)と分類する.
結果としてはネクローシスネクローシスとして95.2%認識,NotNecrosisをNotNecrosisとして82.9%認識,MVPをMVPとして75%認識し,NotMVPをNotMVPとして73.6%認識した.

またこの手法を用いた場合に,WND-CHARM featureを利用した場合と比べてHGGをHGGと認識したのは66.6%に対して88.2%,LGGをLGGと認識したのは70.1%に比して82.8%とWND-CHARMを上回る結果となっている.